坂道

Orisaka Yuta

坂道を駆け下りる
この体に開かれた
世界を置き去りに鳥のように駆け下りる

重心を低くとり
加速するこの命が
過ぎてく家や木々を
抽象の絵に変える

季節が耳打ちする
「似合わない服を脱げ」と
きっと君は気づいてた
目的を通り過ぎたと

その角を曲がれば
細く暗い道に出る
いつかは会えるだろう
嘘みたいなそんな場所で

季節が耳打ちする
「おれたちに何を待つの」
閉め切られたあの窓に
自由だと言い聞かせて

坂道を駆け下りる
この体に開かれた
世界を置き去りに
鳥のように駆け下りる

その角を曲がれば
細く暗い道に出る
いつかは会えるだろう
嘘みたいなそんな場所へ

鳥のように駆け下りる
坂道を