Aibiki

Orisaka Yuta

かける はねる
真澄の空に手をかざす
喝采と悪口が代わるがわる血を注ぐ

つねる かわす
好き合うものに日が暮れる
互いの生傷を
薄暗に伏せている

歌が唇を
伝うほどに

手を取りて消えて行く
手を取り君たちは

ひかる はぜる
雨粒のように酒が降る
礼には及ばぬと
傘を託し去る男

みだる まざる
知らぬ祈りに血がたぎる
各都市の私が
呼び合うようにいくさ場へ

歌が唇を
伝うほどに

手を取りて消えて行く
手を取り君たちは
手を取りてどこかへ

酔うほどにさまよい
突き飛ばしあって歩きました
よろめき踏み入れた線が国境だと
わかった時にはもう一里もニ里も先にいました
前線異常無し
旋律 多く閃きたり
歌います こうです!
歌います こうです!

まわる はじく
風吹く度にビルが建つ
夕やけがザジみたい
腹決めた子供みたい

歌は唇を
伝うほどに
結ばれて消えてゆく
その霞を食べている

きたる黄昏に
ドアを閉めて

手を取りて消えよう
手を取り俺たちは
手を取りて消えてゆく
手を取り俺たちは
手を取りて消える