茜色の群青

sumika

レンタルビデオ屋に行こう
シリーズもののアニメを見よう
「あれ、おかしいな」つまらないな好きな物だったのに

こんな風に思うもの
食べ物、場所、人、色々
君が居て好きになっていたものが
あまりにも多過ぎたんだ

もうきっと大丈夫
そう思っているのに
独りの六畳はやたら苦しいな
携帯や動画の中ではなく
頭の中で君が今日も笑う
辛いよ

嬉しいと笑って
はしゃぐ君はもう今頃
誰かの腕の中
あの日のようにシワを作り
目を合わせ はにかみ
幸せは漏れ出し
君のコンタクト越し
潤んだ瞳に
僕はもう映らない

駅まで自転車を漕ごう
弁当と雑誌を買おう
ほんの10分弱の道のりが
やたら遠く感じたんだ

肉屋のメンチカツや
遊具のない公園
この街は君の欠片多くて困るな
ペダル漕いであの日に戻れたら
なんておかしい妄想をして
潤う景色が
辛いよ

嬉しいと笑って
はしゃぐ君はもう今頃
誰かの左側
手を繋いで歩み進め
行き先へ誘い
右側はよろけて
ちょっと崩れた体勢
支える左に
僕はもう出会えない

六畳に散らばっている
この街に溢れている
欠片を集めたら
1つになるかなって
今でもずっとずっと
探し続けているよ
ごめんよ

嬉しいと笑って
はしゃぐ君はもう今頃
誰かの腕の中
あの日のようにシワを作り
耳元で囁き
愛情溢れ出し
君の掠れた響き
愛しい部屋鳴り
六畳には響かない

愛しい欠片を
全て繋げても
そこに君は映らない

東の空に大きな
茜の玉が落ちていた
しっぽだと思ったものは
顔だった
洗濯物干さなきゃ