NG

槇原敬之

ボタンが取れているだけで
着れないシャツを持ったまま
君がもうこの部屋にいないことを確かめていたけど
忙しい日々の隙間の
中途半端な空白で
細い背中を思うのが何より辛い
めざめた僕の首筋に君の長い髪を
感じられたあの日々を 取り戻したい
二人で暮した日々よりも
誰かの噂を信じた
僕になぜうつむいたままで言い返せなかったの
とても長い時間をかけて解ることもあるよと
きのう電話で友達が話してくれていたけれど
僕にも一つ気付くのに遅すぎたことがあるよ
君が僕の景色にいつもいた大切な毎日
私電の高架下 君が聞き取れないから
何度も好きと言わされた あの日さえ陰る
自分の弱さも知らないで強く責めたあの夜
確か部屋には降りだした雨の匂いがしてた
今も部屋には降りだした雨の匂いがしてる

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