三時のキス

ロクデナシ

永遠とか無限じゃなく
限りのあるものだと知らずに
ただ無邪気に口にしてた愛食べ切れなくて捨てた

君の好きと僕の好きは
たぶんわずかに重さが違ってさ
重ねるたび釣り合わなくなり
やがて崩れ落ちた

最後のキスは
吐き出す前の
風船ガムの
味に似ていた

一人分の愛を二人で分け合う
いつも君のほうが少なくて
我慢してたよね 気づかなくてごめんね
ごめんね ごめんね

アスファルトに影が伸びて
茜空にサイレンが響く
日が沈む前に帰らなくちゃ
繋いだ手が解けてく

「また会えるよね」
言いかけた言葉は
飴玉のように
溶けて無くなる

一人分の愛を二人で分け合う
いつも僕ばかりもらってたのに
大事なことさえ伝えられずにごめんね
ごめんね ごめんね

足りないひとつを差し出してくれた
あのときちゃんと「ありがとう」って言えたらな
その味は今でも
唇からずっと消えない

当たり前のように明日が来ること
信じて疑いもしなかった
サヨナラの意味に気づかなくて
小さな背中を見ていた

一人分の愛を二人で分け合う
甘さもほろ苦さも分け合った
それが幸せと気づかなくて
今さら涙が零れた

君からもらった
カケラを握りしめて
ねえ、今なら言えるよ「ありがとう」